Free
19/10/1989
Maison Martin Margiela by Shoichi Aoki
Period:2025/06/12 15:00(GMT+09:00)~
- 展示点数:1
- 所要時間:00:00:00
ストリートファッション写真の第一人者でもあり、長年に渡って『STREET』『FRUiTS』『TUNE』などを出版してきた青木正一。1980年代から世界各地のストリートファッションの最前線を撮影し続けてきた青木が、初めてMaison Martin Margielaのショーを目撃したのが1989年10月19日のこと。
Maison Martin Margiela 1990年春夏のプレゼンテーションは、パリ郊外20区の移民街にある、落書きだらけのフェンスに囲まれた空き地で開催されました。Margielaは招待状の作成を、地元の学校に通う子供たちに依頼。茶色のダンボールに、子供たちが描いた絵と共に「Martin Margiela / défilé été 1990」と書かれました。Margielaたちは、感謝の気持ちを込めて子供たちをショーに招待し、最前列のスペースを確保。瓦礫と割れたコンクリートスラブのでこぼこの地面、大きな白の防水シートで覆われたスペースを、シニヨンを乱したヘアスタイルのモデルたちが、観客と同じ高さで歩きました。
白、生成り、グレーのカラーパレットで構成されたショーは、「シガレット」ショルダーパッドを備えたジャケット、白いステッチラインでトリミングされたPVCジャケット、スーパーマーケットのビニール袋でできたタンクトップなどが登場。緊張した面持ちで編集者やバイヤーの足元に座り込んでいた子供たちは、次第に騒がしくなり、モデルと共に歩き始め、モデルと手を繋ぎ、モデルの肩に担がれ、すっかりとショーに溶け込んでいったのです。会場の外では、招かれていないジャーナリストやフォトグラファーたちが、近所に住む人々に助けられながら壁を登り、どうにか会場に入ろうとしていました。
ランウェイを闊歩するモデルたちの姿はもちろん、熱気溢れる会場外の光景だけでなく、会場に集まった人々の服装までをも撮影していたのが青木でした。本展覧会『19/10/1989』では、それらの貴重な瞬間をとらえた23点の写真作品をオンライン上で展示致します。